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SX270Clock Up intel487_dscn1799.jpg いま さらですが intel 478pinCPUを 弄ってみた顛末記・・・

1.データシート調査
intel
よりCPUデータシート見るとデータシートはデザインルールごと作成され てるようで、
モバイルCPUとデスクトップCPUに ついて整理してみた。 → intel478pin  データシート分類
コア種類ごとのProcessor Clock範囲、 クロックアップに関係するBus ClockL2cash size、対応す るchipsetも記載してます。
デスクトップCPUWillametteコ アからNorthwoodコアとPrescottコ アの3世代ありますが、
モバイルCPUは、後ろの2世代だけが存在するようです。
データシートからの情報ですので、これ以外にもカスタム品とかいろいろあると思いますが分類の目安程度ということで。

2.CPUの用意
入手したSX270CPUほ か無し無しなので、まずCPUを どうするか。
chipset
i865Gな ので90nmP4 prescottコアが動きそう、でもけっこう 高値。
モバイルのP4 prescottコ アはノート用途のせいかけっ こう安値。でもデスクトップPCMobileっ て動くの?
調べるとSX270はわかりませんでしたが、デスクトップマザーは動くものと動かな いもの いろいろみたいで、
試してみるしかない感じ。ノート用に持っているモバイルP4系と合わせ、用意したの は次のCPU 4種です。


表 テストCPU

No

CPU

sSpec Number:

備考

mobile celeron 1.8G  (130nmコア)

SL6J4 

P4系 ノート用の手持

mobile P4  1.4GHz/1.2GHz  (130nmコア)

SL5ZH

P4系 ノート用の手持

mobile P4  3.06GHz/1.86GHz (90nmコア)

ES

mobileな のでSX270で動作 するか不明ですが 本命

celeronD  3.06GHz (90nmコア)

ES

デスクトップCPUな ので動 くはずということで、ダメなときのバックアップ


表 なにも細工なしで試したときのSX270BIOS起 動結果

No

BIOS起動結果

実測コア電圧

定格コア電圧

備考

1

起動しない 

0.84V

1.3V

低すぎで起動しない?

2

1.2GHzLowClockで起動

1.55V

1.2V-1.3V

コア電圧高い、定格最大HighClock1.4GHzではない。

3

1.86GHzLowClockで起動

1.12V

1.25-1.4V) *1

コア電圧だいたい合っている。定格最大HighClock 3.06GHzではない。

4

普通に3.06GHzで起動

 -

 -

ノーマル

*1  ES品で不明なので類似品 sSpec Number   SL7DS(Mobile P4 3.06GHz 90nm) のコア電圧

この時はデスクトップにモバイルCPU系はやはりだめなのか?という感じ。

3.VID信号
いろいろ調べた結果、VID0VID4信 号を細工すると起動しないCPUが、起動したりするらしい。
これは、CPUVID0VID4ピン出力を見て、マザーはそのコア電圧を生成するのだが、
モバイルとデスクトップではその定義が違うらしい。
どういうこと?ってんで先のデータシートからVID信号を拾ってみた。 → VID4〜VID0信号 とCPUコア(Vcore)電圧定義
分類するとだいたい3つ
(a)  MobileCPU
のデザインルール130nmコア
(b)
 DesktopCPU160nmコ アおよび130nmコア
(c)
 Mobile/DesktopCPUのデザインルール90nmコア (Prescottコ ア)

(b),(c) CPUコア電圧1.1V1.6V の間は共通ですが、(a)はかなり低いで す。
これから推定すると、
(1)
MobileCeleは、(c)90nmコアの低いコア電圧がマザーで生成され起動しなかったと思われます。
(2)
MobileP4は、(b), (c)の高いコア電圧がマザーで生成されていると思われます。

予想が合っているか(1)MobileCele VID4信号ピンは信号L(論 理0)を出力しているはずなので、
ピンマスクしてマザーが信号Hとして動作するようにしてみます。
結果は、BIOS起動OKで 実測コア電圧は、ほぼ表の期待値1.225V(青字)となってました。

(2)MobileP4で も同様にVID4信号 ピンをマスクした結果は、
BIOS
起動の実測コア電圧が、ほぼ表の期待値1.175V(赤字)でした。

VID3VID0信号も細工してコア電圧を ぴったり合わせこむことも可能と思いますが
実用上はそこまでする必要はない感じです。

4.VSEL信号とクロックアップ
SX270デスクトップでもモバイルCPUの コア電圧がほぼ正常設定できるようになったので、クロックアップしてみることにしました。
市販マザーのようなBIOS設定はありませんが、VSEL信号のピンマスクでクロックアップできるよう です。
先のデータシートで、VSEL信号とバスクロック関係を拾って見ました。→ BSEL信号 と BCLK frequency定義
Mobile Celeron /Mobile P4 ともBCLKは100MHzで、BSEL1、0信号両方ともL出力(論理0)です。
このピンマスクで、論理1となるよう細工できます。

表 BSEL信号のピンマスク設定とBCLKの対応

BSEL1

BSEL0

BCLK frequency.

備考

0

0

100MHz (FSB400)

 ピ ンマスクなし
Mobile Celeron /Mobile P4 (130nm)の定格

0

1

133MHz (FSB533)

  BSEL0をピンマスク

1

0

200MHz (FSB800)

 BSEL1をピンマスク

1

1

166MHz (FSB667)

  BSEL1と0をピンマスク
CPUデータシートにないBCLKが生成する

  備考 表はSX270ですがSX260の場合、BSEL1のピンマスクは効かずDSEL0をピンマスクで1にすると133MHz(FSB533)になりま した。

表 テストCPUのNo1 mobile celeron 1.8GHz と No2 mobile P4 1.4/1.2GHzでBIOS起動を試してみた結果
1=ピンマスク設定 ほぼ定格コア電圧で
コア電圧上げて限界付近
ほぼ定格コア電圧で コア電圧上げて限界付近
BSEL1 BSEL0 mobile celeron 1.8GHz
(VID4マスク
=コア1.225V)
mobile celeron 1.8GHz
(VID2マスク
=コア1.525V)
mobile P4 1.4/1.2GHz
(VID4 マスク
=コア1.175V)

mobile P4 1.4/1.2GHz
(VID4マスクなし
=コア1.575V)

0
0
1.8GHzで起動OK
 −(未確認たぶんOK)
1.2GHzで起動OK
 −
0
1
2.4GHzで起動OK
 −
1.6GHzで起動OK  −
1
0
起動NG
起動NG 起動NG 2.4GHzで起動OK
1
1
起動NG 3.0GHzで起動OK
2.0GHzで起動OK
2.0GHzで起動OK

テ ストしたMobileCPUが130nm初期の動作周波数のものなので結構上がる感じでした。
なおBIOS起動しか見ていないのでOS入れて使えるかどうかは判りません。

sx270 bios 
写真は、
mobile celeron 1.8GHz で3.0GHzで起動OKの ときのBIOS画面
mobile celeron なのですが、BIOSは Pentium4と間違えてます。。。


5.ピンアサイン
VID4VID0 信号(5ピン)とVSEL10信号(2ピン)のCPU ピンアサイン

vidandvsel


6.ピンマスクの方法
CPUピンはは写真のように被服の薄い線材の外皮をかぶせてます。
このままではソケットにそのピンが入らないので1mmのピンバイスでソケットのピン穴を広げてます。
CPUピンのかぶせた外皮をはずせば元に戻ります。

socket478拡大

6. Mobile P4 90nmを 定格動作させる

 mobile P4はデスクトップP4にない2つの動作モードがあります。
 ・Maximum Performance (High Clock 、High Core電圧)
 ・Battery Optimized Mode(Low Clock 、Low Core電圧)

 データシートを見ると、パワーオ ンではLow Clockで起動すると記載されてます。
 High Clockに移行するには手順が必要で改造できるレベルではないようです。
 そこで適当なツールがないかさがしたところ、windows用ですがRightMark CPU Clockというツールで

 windows起動後 High Clockに移行させることができました。
 ・自動起動設定でwindows起動後に自動的にHigh Clockに移行することができます。
 ・ツールバーに常駐となります。左ボタンで下図のように、High clock(Maximal)、Low clock(Power Saving)に切替える操作ができます。

rmclock


7.SX270 消費電力

CPU選定と電源容量選定のめやすになるかと思うのでSX270 消費電力を実測しました。
各電流値は供給電圧+12Vの電流値・・・デジタルテスタの適当な読みなので目安程度です
HDBenchはMAXの値(メモリアクセス時)です。

(1)Mobile Celeron 1.8GHz L2:256kB TDP30W  (VID4ピンマスク=ほぼ定格コア電圧)

BIOS OS起動中 起動後 HDBench     :HDBench(MAX)時のファン状態
-------------------------------------------------
2.6A     3.3A         2.1A     3.9A         :定常時とかわらず?


(2)CeleronD 3.06GHz L2:256kB TDP73W(ノーマル)

-------------------------------------------------
6.2A     7.0A         3.4A     8.0A         :定常時より多少アップする、う〜う〜、うなってる?程度


(3)MobileP4(Prescott) 3.06GHz L2:1MB TDP88W

-------------------------------------------------
4.5A     8.3A         4.6A     10.4A         :爆音(起動時のmax回転なみ)

とにかく SX270最速なら(3)Prescott 、静けさ追求なら(1)のMobile CPUで 、性能も静けさもそれなり望むなら(2)がおすすめという ところ
(1)なら液晶モニタ用ACアダプタの60W品(12V5A)でいけるかも。
(3)なら標準ACアダプタの150W並(12V12.5A)電源が必要です。


8.Mobile 478pin CPU(130nm)の実装
チップむき出しのMobile CPUを 使う場合の対処方法です。
デ スクトップCPUのヒートスレッダがないぶん高さが低いのでヒートシンクの押さえがスカスカです。
一般的にはその厚み分銅版などをはさむようですが手元にないので次のようにしました。
ヒートシンクと押さえの部分に適当にプラスチックシートをはさんだだけです。
ヒートシンクを抑えている2箇所とも
プラ スチックシートを挟むようにします。
マスキングテープか両面テープでヒートシンクに仮付けして取り付けるようにするとやりやすいです。

プラスチッ クシートは部品ケースの適当なカバーの廃品利用ですが少し厚めのものが良い感じです。


sx260_1 sx260_2 sx260_3



あとがき
CPUク ロックアップは別にSX270に限った話ではないので、他の市販デスクトップでも可能と思います。
もっともASUSとか市販マザーでBIOS設 定したほうがはるかに楽ですが・・・

2007.5.1記    


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